ゴルフ8 1.0eTSI Active試乗レビュー、今回はこれまでチェックしてきたエクステリア・インテリア・走行性能を総合的に評価してみたいと思います。
最後のMQBプラットフォームというウワサもありますが、各所はしっかりアップデートされていて、手抜きは感じられません。走りの面では48Vマイルドハイブリッドが採用され、低速域を中心にモーターアシストが入り、滑らかな発進加速を実現しています。
- 高評価ポイント
⇒1.0eTSIはモーターアシストが非常に自然で効果アリ。先代の1.4TSIよりも軽快な走りは正直驚き。
- もう一歩ポイント
⇒インテリアの質感と操作性。パッと見た感じは高品質だが、叩くと超プラスチックな音が残念…。またデジタル化を目指してタッチセンサーが多用されているが、運転中は使いづらい機能がたくさん。
- 総合評価
⇒MQBプラットフォームはそのままだが、エクステリアもインテリアも大幅チェンジで乗り換える価値は十分あり。特に走りは大きく変わったので、先代ゴルフ7オーナーは一度試乗してみるべき。また街乗り中心であれば、A3 30TFSIよりも軽快だと感じるため、高級感か走りのどちらを重視するかで狙いが変わりそうです。
※ゴルフ8・A3徹底比較レビュー
◎サイズ…全長4,295mm×全幅1,790mm×全高1,475mm
ひと言…全幅-10mmでコンパクト、全高-5mmでスタイリッシュに。
◎エンジンスペック
1.0eTSI…110ps/200Nm(2,000~3,000rpm)
1.5eTSI…150ps/250Nm(1,500~3,500rpm)
◎ホイールベース…2,620mm
◎最小回転半径…5.1m
◎トランスミッション…7速湿式DSG
ひと言…ゴルフ7.5は乾式であるものの、実際ダイレクト感はそこまで違わない。GTI・Rは湿式だが、それでもあまり違わない。
◎車両重量
1.0eTSI…1,310kg
1.5eTSI…1,360kg
◎JC08・WTLCモード燃費
1.0eTSI…20.4km/L(JC08)、18.6km/L(WLTC)
1.5eTSI…18.7km/L(JC08)、17.3km/L(WLTC)
ひと言…実燃費は大体カタログ値の60~70%が目安です。
◎モーター出力…13ps/62Nm
ひと言…ゴルフ8は1.5eTSIでもモーターアシストがあります。A3は30TFSIのみ。
◎タイヤサイズ…16インチ 205/55、17インチ 225/45
◎コンセプトカラー…ライムイエロー
ひと言…フロント下部のオシャレな3本羽は「Active」と「Style」で、「R-line」にはありません。
【参考】VW公式サイト(Golf)
- 概要編
- エクステリア編
- インテリア編
- 走行性能編
- 総合評価編
高評価なポイント
今回の試乗で最も好印象だったのは、モーターアシストの効いた1.0eTSIの心地良い走行フィールです。出足の滑らかさは、明らかに普通の1.0Lエンジンの加速とは異なり、軽快感に溢れています。
乗り出した瞬間、思わず「なるほど!」って声が出たよね。
さすがは世界のベンチマークだね。
アクセルを軽く踏んでも強く踏み込んでも、電動アシストによる違和感は全く無く、ただエンジンがパワフルだと感じるのみです。モーターの機械音等も聞こえないので、完璧な裏方としてとってもいい仕事をしてくれます。
さらに高回転まで回した時のサウンドが心地よく、1.0Lとは思えない低音を響かせながら加速してくれます。
ライバルのアウディA3 30TFSIも同じ1.0Lエンジンですが、3気筒の軽さ全開のエンジン音なので、パワフルなエンジン音はゴルフ8ならではの魅力と言えます。
エンジンサウンドで言うと、BMWの118iも3気筒でイイ音してたよね〜。
駆けぬける歓びを体現してる感じだね。
もう一歩なポイント
一方、もう少し頑張って欲しかったなぁと感じるのは、インテリアの質感・操作性です。
コンセプトである電動化・デジタル化を進める中で、多くの物理スイッチが廃され、タッチセンサー式へと変更されました。
パネル自体はピアノブラック等で加飾されていて、パッと見た印象はとても高品質で魅力的ではありますが、操作性が度外視されている感があります。
なんかワーゲンにしては珍しいよね。質実剛健がウリなのに…。
デジタル化の急進派がいたりするのかも?
特に、センターディスプレイの下側をスライドするエアコンの温度調整はまるでダメで、OKを出した人を問い詰めたいレベルです。
スライドし始めてもなかなか反応せず、温度が変わり始めると今度は思うところでストップできず、結局微調整をタップで行うハメになります。
タッチ領域の端から端までスライドさせると、大体2℃〜3.5℃くらい変化されられますが、エアコンの温度なんてそこまで大幅に変えることはありません。
エアコンは通年22℃が推奨温度であると、アウディではマニュアルにもハッキリと書いてあるくらいで、家のエアコンとは考え方が違います。
またセンタークラスターのパネルも同様に、色も同じで区切りも無いため、凝視して狙いを澄まさないと操作を誤ります。唯一ハザードスイッチ部分だけは、段差が設けられ物理スイッチになっているので、何とか間違わずに押せます。
ただインパネのデコラティブパネルはグレーのメタル調で、デザインはカッコよくていい感じです。見た感じも高級感があり、最初に乗り込んで目に入った時は、「おっ、確かにこれは値上がりも仕方ないか…」と感じるほどでした。
しかしちょっとコンコンと触ってみると…。
何というプラスチック感…。
触れてみるまで、パネルの質感は以前のA1スポーツバックのデコラティブパネルのような感じなのかなと思っていましたが、予想をはるかに上回るプラスチック感で残念でした。ただ見た目は素晴らしく、誰かを乗せたとしても「質感はどうなのかな?」などと言って触る人はほぼいないと思うので、問題は自身の満足度だけです。
色合いも、T-Crossのようにもう少し鮮やかな印象にすればいいのにと思いましたが、そこはワーゲン側の拘りがあるようでした。
これはアンビエントライトが点灯した際に、光が反射してラインがぼやけないように反射を抑える素材と色にしているようです。
最初は、アルミ調にしたらよかったのにと思ったけど、その理由なら納得かな。
まぁでも質感は少し足りないかなぁ。
一方新しいナビゲーションやシステム画面のデザインは非常に美しく、ポップなアニメーションもオシャレで魅力的です。
ナビ画面をディスプレイ全面に広げることもでき、タコメーターやスピードメーターは必要ない人でも便利に使うことができます。
システムは細かい設定もできるし表示も美しくて優秀なんだけど、やっぱり使いやすさがなぁ…。
もう少し考えて欲しかったよねぇ。
例えば走行モードの変更を選んでみると、左下にとっても控えめなボタンと文字が並びます。
走行モードを変えるのは、ほとんどが走行中であると想定されるにも関わらず、なぜ大きな画面の端っこに小さく表示されるのかが疑問です。巨大ボタンが不細工だと思うなら、他の方法を考えるべきです。
- 画面を不均等に斜めの線で区切る
- 画面全体をスワイプさせて左向きならコンフォート、右向きならダイナミックとする
など、いくらでも機能性を損なわずにカッコよくする手段はあったはずです。
せっかくアニメーションも使えるんだし、こういう操作性に関するポイントはもっと気を使って欲しいねぇ。
「コンフォート」とか半角カタカナだし…。
ゴルフ8は中古車も豊富にある
ゴルフシリーズはワーゲンの主力モデルということもあり、市場にはたくさんの中古車が出回っているため豊富な選択肢の中からお気に入りを選ぶことが可能です。
ゴルフ8の中古車の選び方は「ゴルフ8中古車購入マニュアル」として以下のリンク先で徹底解説しているので、人気グレード・仕様を安く手に入れたい人はぜひご覧ください。
例えばガソリンエンジン(eTSI)の中古車相場をグラフにまとめると以下のような感じです。Active Basicを除くと概ね250~350万がボリュームゾーンとなっています。
StyleとR-Lineの価格差は約10万しかないにも関わらず、R-Lineは装備が非常に充実しており中古車相場も高止まりしているため、せっかく選ぶならR-Lineが良さそうです。
■ ゴルフ8中古車(eTSI)の中古車価格相場
ただR-Lineは開口部が大きくて、デザインがStyle以下と違うから好みが分かれるところかも。
意外とフロント部の3本ラインもカッコいいもんね。
他に、上記のリンク先記事ではボディカラーも比較調査してみました。コンセプトカラーはライムイエローですが、実際の中古車を見るとそこまで比率が高くないことが分かります。
定番のホワイト・ブラックの次はレッドとなっていますが、ライムイエローは約6%とデビュー時のインパクトを考えると少なめの台数に落ち着いている印象です。
■ ゴルフ8中古車のボディカラー分布
海外ではグレー系って凄く人気だけど、やっぱり日本では不人気なんだね。
白でも黒でも無い中途半端な感じがイヤなのかな…?
ただ、やはり中古車は状態の判断が大切で、輸入車は維持費がかさみがちです。信頼できる知識のある人に相談して確認しておかないと思わぬハズレを掴む可能性もあります。
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10段階評価すると?
満を持して発売されたゴルフ8、エクステリア・インテリア・走行性能等を総合して評価すると、10点満点のうち5点です。
外観・内装ともにパッと見た時の印象は非常に素晴らしく、MQBの適当なキャリーオーバーなんて言わせないワーゲンの熱意を感じます。
全高-5mmは思ったより効いていて、先代までの丸っこくて可愛らしいイメージは相当薄まりました。
まぁ私はコロンとしたゴルフ7もキュートで好きだったんだけどなぁ〜。
ゴルフ8はより男性ウケを狙った感じだね。
走行性能も素晴らしく、1.0eTSIの「e」にあたる48Vマイルドハイブリッドシステムは抜群の裏方として、走りの質をグッと上げてくれます。
踏み込んだ時のサウンドも思いの外勇ましく、一部サウンドジェネレーターも活躍してそうではありますが、それでも違和感のない高い完成度です。
私のアウディS3も、走行モードによっては明らかに作られたサウンドが響きますが、それでも十分に気持ちは盛り上がります。
フロントガラス付近で音を増幅させてるんだったよね。
でも音源の位置は上手く隠されて自然な感じ。
インテリアも見た目は高品質で、色使いの上手さやピアノブラックの質感が際立ちます。ただスイッチ類については、肝心の使い心地がイマイチな部分が多く残念です。
今や定番となったデジタルメータークラスターは10.25インチで、左右に円形にスピードメーターとタコメーターを表示するパターンと、全面ナビの上に四角い表示ができるパターンの2つがあります。
ゴルフ8で峠をバリバリ走るイメージはそれほど無いはずなので、スピードメーターやタコメーターのない全面ナビが普段は便利かなと思います。
私はシフトアップの回転数とかが気になるからタコメーター欲しいなぁ…。
クルマ好きはメーター欲しいよね。
ちなみにゴルフ7.5では、左右メーターの間にナビを表示する形式しか選べず、どうしてもナビの表示面積が狭くなっていました。
今回のモデルチェンジではそこはしっかり改善されたので、ここは高評価ポイントです。
ただ正直なところ、運転に慣れてる人はセンターナビでも何の不満もないはずなので、わざわざ両方ともナビにするかは疑問です。
デジタルコックピットは美しいですが、傷が入ったり強い衝撃を受けたりすると壊れる可能性もあります。ゴルフ8用の液晶フィルムがあるので、気になる人は貼っておくと安心です。
またデジタルコックピットは、ドイツ車の各メーカーごとに様々な特徴があるので、比較するだけでもなかなか楽しいです。機能性に優れていたり、見た目に優れていたりと、各社のカラーがよく出ていると感じます。
オシャレさならBMWが優勝だね。ナビする気はあんまり無い感じだけど。
デザインと機能性のトレードオフかな…?
まとめ
新型ゴルフ8は2021年6月に日本でデリバリーが開始されました。新型コロナウイルスの影響もあり、実に1年半ほど遅れての発売です。
プラットフォームこそMQBで変わらずですが、見た目・内装・パワートレインはすべて刷新され、新しく生まれ変わっています。
特に走行性能は先代ゴルフ7.5を大きく上回り、低中速域を中心に軽快感が強くモーターアシストがいい感じに効いています。
ゴルフ8は、想像以上に各所が新しくブラッシュアップされているので、気になる人はぜひ一度試乗してみることをオススメします。
またライバルのアウディA3は、やはり高級感ではゴルフ8を上回っておりコチラも良いクルマです。
※ゴルフ8 キーカバー5選
※ゴルフ8 アクセサリー5選