2021年12月に日本発売された新型ゴルフ8GTIの試乗レビュー、今回は改良された2.0TSIの走りをチェックします。
ゴルフGTIには48Vマイルドハイブリッドは搭載されませんが、全くそんなもの必要ないと思わせるパワフルな走りを見せてくれました。
先代ゴルフGTI Performanceと同スペックだけど、より力強い印象があったね。
MQBプラットフォームも同じなのにね。
◎サイズ…全長4,295mm×全幅1,790mm×全高1,465mm
ひと言…なんと全幅は先代-10mmと小さくなった。
◎エンジンスペック…2.0TSI 245ps/370Nm(最大トルク1,600~4,300rpm)
◎0-100km/h加速タイム…6.2秒
◎ホイールベース…2,620mm
◎最小回転半径…5.1m
◎トランスミッション…7速湿式DSG
ひと言…先代ゴルフ7GTIは6速湿式だったため、巡航ギアが追加されている。
◎車両重量…1,210kg
◎JC08モード燃費…13.7km/L
ひと言…WLTCモードだと12.8km/L。実燃費は大体カタログ値の60~70%が目安です。
◎タイヤサイズ…18インチ 225/40
ひと言…試乗車は大体オプションで19インチ 235/35搭載。これは結構硬い。
◎オススメカラー…ホワイト・ブラック・グレー(2色)
ひと言…フロントの赤いライン装飾が特長なので、ボディが赤だと目立たなくて何だかもったいない。
- 概要編
- エクステリア編
- インテリア編
- 走行性能編
- 総合評価編
今、ゴルフGTIの兄貴分となる最速ワーゲンのゴルフRも、中古車なら200~300万あれば状態の良い中古車が狙えます。
GTIはゆったり速い感じですが、Rは出足からバリバリスポーティ&やる気全開で全く別のクルマです。人気のラピスブルーも多く、ひと際目立つ存在できっと満足できるハズです。
※ゴルフGTIのお手頃キーカバー
コンテンツ
出足から俊敏かつパワフル
早速クルマに乗り込んでエンジンをかけると、ブルルンッ!と以前試乗したゴルフ8(1.0TSI)より明らかに力強いサウンドが響きます。
ただアイドリング状態だと拍子抜けするほど静かで、アウディS3やゴルフRと比べてサウンドも割と大人しく、やる気がみなぎるという感じではありません。
静かに響く重めの音はイイ感じだったね。
静かに威圧する…って感じの優越感があるね。
道路に出て軽く踏み込んでみると、かなりレスポンス良く加速を始めますが、イヤな飛び出し感は全くありません。
思わず走行モードを確認しましたが、標準とされる「コンフォート」だったので、今回はかなりスポーティに振られているようです。
先代ゴルフGTIではアクセルを深く踏み込んでもあっさりした反応で、踏力と加速感がどうも一致しない感覚がありましたが、今回はリニアなフィールに変わっていて好印象です。
強めに踏み込んでも応答性OK
続いては、前が空いている所で少し強めに踏み込んでみました。すると、すぐに反応して加速が始まります。
先代のゴルフGTIやRにあったドッカンターボ感は軽減され、比較するとタイムラグは半分くらいまで減っている印象です。
先代までは、エンジンが一旦上まで回りきってから、ワンテンポ遅れて加速が始まる感じだったもんね。
それもグッと急加速して気持ちいいんだけどね。
ただ一方で、常に速いので感じる加速感は少し落ちた気もしますが、この方がワインディングでも扱いやすいのではと思います。
70km/hを超えてきても、少し鈍くなるものの一定の加速感が続いてくれるので、高速での追い抜きも安定していて楽チンだと思われます。
先代よりも出足部分が機敏なレスポンスとなったので、街乗りでは「とっても速くなった!」と感じる人が多いのではと思います。
ふむふむ、もしかしたら先代ゴルフRにも勝てる?
ふふふ、ゴルフRを舐めちゃいけないよ…。
先代ゴルフRと比べると、出足の軽やかさは一瞬「同じくらい!?」と感じるかもしれませんが、そこから踏み込んでいった時の加速感が別モノです。
スイーッと何の引っ掛かりも鈍さも無く加速し、気がつくと90km/hくらいになっているトコロは、やはりGTIとはまたワンランク違うステージにいます。
まさに「最速のフォルクスワーゲン」の名を欲しいままにするゴルフ7Rですが、中古車なら200万くらいから狙えますし、300万あれば条件を絞っても良いクルマが見つかると思います。
まぁ新車価格はドンドン上がってるんだけどね。
これも時代の流れかねぇ…。
ハンドリングも先代より機敏
次はハンドリングのチェックです。機構としては、先代同様プログレッシブステアリングが採用されていて、少しの切り込みでノーズの向きを鋭く変えることが可能となっています。
実際に左右にキュッキュッと触ってみると、それぞれ10時・14時を過ぎた辺りから反応が鋭敏になってくる印象です。
先代ゴルフGTIにもあったプログレッシブステアリングですが、今回の方がより鋭く設定されていて思い通りのラインを描けるはずです。
コチラは感覚的にも先代ゴルフRに近いくらいのレスポンスになったかな。
全体的にスポーティさが増してるよね。
さすがに試乗ではスキール音を鳴らすような攻め方はできないので、峠道やサーキットで走った時の限界までは分かりません。
ただコンフォートで触った感じでも十分鋭かったので、スポーツにすればもっと強く攻めても快走できるはずです。
走行モードやDCC設定はどう?
ゴルフGTIでは4つの走行モードがあり、センタークラスターにあるタッチパネルに触れることで各モードが表示されます。モードを切り替える度に、DCC・ステアリング・ドライブ・エンジン音といった項目ごとの設定が変化します。
- エコモード…最も低燃費となる走行モード
- コンフォートモード…4つの中では標準的とされるモード
- スポーツモード…足回りも硬く、エンジン反応も鋭くなる本気モード
- カスタムモード…項目を好きに組み合わせられる任意設定モード
最初はコンフォートで乗っていましたが、これが標準モードなので特にゆったりしている印象もなく、パシパシと心地よく走ってくれます。
ちなみに私のアウディS3にあるドライブセレクトでは「エフィシェンシー・コンフォート・オート・ダイナミック・カスタム」の5つとなっていて、オートモードが標準となっています。
何だかコンフォートだと性能を抑えて走ってる気がして、もったいなく感じちゃうなぁ…。
だからGTIでは「エコ」だけに絞ったのかも。
次にスポーツモードに切り替えてみると、足はかなり硬くなりエンジンレスポンスも大幅に変化して驚きました。
先代ゴルフGTIの走行モード切り替えでは「…ん?変わった…?」という感じでしたが、今回はしっかりと走りが変化することが分かります。
先代ゴルフRよりもハッキリと切り替わりが分かるかも。
うん、とってもイイ感じに進化したね。
エンジンレスポンスは行き過ぎた感じではなく、日常使いでもギリギリ心地よく使える敏感さかなという印象です。
一方の足回りはちょっと普段乗りには硬すぎるかな…といった設定で、少しの段差でもピョコピョコと跳ね回ってしまいます。
- エンジンレスポンス…日常使いでも気持ちよく乗れるレベル。逆にコンフォートが少し鈍く感じるようになるかも。
- 足回り…きれいに舗装された道路でもピョコピョコ跳ね回り、長時間乗ると腰が痛くなりそうなので、スポーツ走行時だけがオススメ。
ゴルフGTIにはDCCと呼ばれるダンパー減衰力を変化させる機能が付いていて、走行モード設定と連動しています。
15段階で設定できますが、コンフォートでは柔らかい方から4番目、スポーツでは硬い方から4番目となっており、さらに柔らかく・さらに硬く設定することも可能です。
一度カスタムモードに切り替えて、最も硬い15段階目を選んでみましたが、フォルクスワーゲンとは思えないバリカタでした。
通常のスポーツモードからさらに1段階硬くなってビックリしたよね。前に試乗したベンツA35を思い出しちゃった…。
AMGだけにガッチガチのムッキムキだったね。
このDCCはオプションとなり、19インチホイール+DCCのセットで220,000円となかなかに高価です。走りの幅は広がるものの、そもそも19インチで硬くなった足をさらに硬い設定にする人がどれくらいいるのかは疑問です。
もし「ちょっと硬すぎるかなぁ…」という人はシートクッションで衝撃を和らげる手もあります。50年以上続く安心の日本製シートクッションの新素材「エクスジェル」はオススメです。
運転による腰痛は血行不良が原因と言われていますが、実はクルマ自体に原因が潜んでいる場合もあります。
腰痛予防の対策3選と一緒にご紹介していますので、お金をかけずに解決してみたい人はまずこちらの記事を参考にしてみましょう。
0-100km/h加速は6.2秒!
ゴルフGTIの0-100km/h加速タイムは公称値で6.2秒となっていて、先代ゴルフ7GTIの6.4秒より0.2秒短縮されています。野太く響くエキゾーストサウンドが非常に心地よく感じます。
https://youtu.be/KSTle-wVkno?t=90
自然なサウンドではなく、多少は誇張されているものの違和感は感じません。むしろやる気にさせるよう上手く調整されており、ガンガンと踏み込みたくなります。
デジタルの速度計もスムーズに駆け上がっていきますが、試乗中に2速へとギアチェンジした瞬間にガガガッ!と上手くハマらずに滑っていました。ポロGTIを思い出すようなヤンチャ感です。
いやー、久しぶりに聞いたよねあの音。前のA3ではしょっちゅうだったけど、S3に乗り換えてから全く無いからねぇ〜。
特に乾式Sトロニックはもの凄い音だったからね。
私が以前乗っていたA3(2007年式)は6速の乾式Sトロニックで、変速のしつけがなっていない時代だったので、上手くアクセル階度を調節しないとギアが破壊されそうな音が響いていました。
今は湿式となり、ギアボックスにはオイルが充填されているため、そこまでヤバそうな音は聞こえませんが、初めて聞いた人は不安になるはずです。
まぁそれにクルマに良くないことには違いないしね…。
DSGの修理は高いと50万近くかかるからね。
湿式7速DSGは反応速度アップ
今回のゴルフGTIは湿式7速DSGとなり、先代のGTI Performanceと同じです。ワーゲンでは、高出力モデルだとギア強度が必要なので乾式ではなく湿式となっています。
【ゴルフ8】
- ○ゴルフ8…乾式7速DSG
- ○ゴルフ8 GTI…湿式7速DSG
- ゴルフ8 R…湿式7速DSG
【ゴルフ7】
- ○ゴルフ7… 乾式7速DSG
- ゴルフ7 GTI…湿式6速DSG
- ○ゴルフ7 GTI performance…湿式7速DSG
- ○ゴルフ7 R…湿式6速DSG
※試乗したモデルに○印
ゴルフ7・GTI・Rには以前試乗していますが、GTI・Rが湿式だからダイレクト感に乏しいかと言われると全くそんなことはありません。
逆にノーマルのゴルフ8は乾式7速ですが、フルアクセルだとギアチェンジ時に引っかからないよう強く制御が入るので、あまりダイレクト感はありません。
1速から2速の切り替えがとてもゆったりしてるね。まぁ乾式は引っ掛かると壊れそうだし仕方ないか…。
攻めた走りをしなければ気にならないけどね。
GTIになると、ギアチェンジの速度は相当速くなっており、先代ゴルフ7のGTIオーナーが乗ると「なんだとーっ!」と叫びたくなるほど違います。
先代ゴルフ7Rと近いくらいのスピード感で、山道でパンパンと切り替えながら走っても気持ちよく、ゴルフ8GTIの大きな魅力となっています。
スポーツ走行をする際には、標準装備のパドルシフトは少し小さく感じるので、社外品のカッコいいアルミ製パドルはどうでしょうか。
他にもゴルフ8シリーズで使えるアクセサリーを色々と紹介しているので、ゴルフ8オーナーの人はぜひチェックしてみてください。
まとめ
ゴルフGTIは先代よりパキッとした足回り・エンジンレスポンスを実現し、よりスポーティに生まれ変わりました。
走行モードも3つのプリセット+カスタムで自分好みの設定もでき、ダンパー減衰力はDCC機能により15段階で自由に硬さを調整できます。
先代のゴルフ7GTIでは物足りなかった人や、ドイツ車のスポーツをしっかり味わいたい人にもオススメできる、イイ感じの仕上がりです。
ギアチェンジも速くなったし様々な方面で走りが良くなったね!
逆にコンフォートでも忙しい感じはあるかも?
では最後に、エクステリア・インテリア・走行性能等を総合的に10点満点で評価してみます。以前試乗したゴルフ7GTIとも比較しているので、ぜひチェックしてみてください。