「駆け抜ける歓び」のスローガンを掲げるBMWは、硬派でスポーティという印象があります。
今回はその中でも本家BMWとBMWミニを比較します。エクステリアから走行性能まで、実際にオーナーになった時に気になる点を見ていきます。
- BMW 1シリーズ 118i…BMWのCセグメントにおける標準モデル。先代まで拘っていたFRを捨ててFFに生まれ変わった。排気量は1.5Lターボで0-100km/h加速は8.5秒。
- ミニ 3ドア クーパーS…ミニのスタンダードモデルである3ドアのうち、「クーパーS」と呼ばれるスポーツ仕様。排気量は2.0Lターボで0-100km/h加速は6.7秒。
5ドアモデルでも6.8秒で0.1秒しか変わらないんだよね。
重量は1,270㎏と1,320kgで50kg違うよ。
走りは圧倒的にクーパーSで、2.0Lターボエンジンのパワフルさとゴーカートフィーリングは素晴らしく楽しいです。
一方118iは、やはりBMWの見た目に魅力を感じている人にはオススメです。加速感はクーパーSより落ちますが、途切れなく心地よい加速を見せてくれます。
エンジン性能の比較
まずは基本スペックを見ていくと、
118iは1シリーズ初めての3気筒である、
1.5Lターボエンジンを搭載しています。
最初は何だかちょっとガッカリしたんだよね、BMWが3気筒だなんて…。
流行りのハイブリッドでも無いのにねぇ。
一方のクーパーSは、
「S」の名が最上位モデルを示しており、
4気筒の2.0Lターボエンジンとなります。
どちらもBMWのこの2台、
両者のスペックをまとめると、
以下のような感じになっています。
- 118i Mスポーツ…4,360,000円
3気筒 1.5Lターボエンジン
エンジンスペック⇒140ps/220Nm
- クーパーS…3,880,000円
4気筒 2.0Lターボエンジン
エンジンスペック⇒192ps/280Nm
値段はクーパーSが安いのに、「drive」の点数はクーパーSの方が高いんだね。
グリルに入る「S」は伊達じゃないね。
ただどちらも低回転域からパワフルで、
街乗りではアクセルに足を乗せていれば、
スルスルーッと滑らかに走ります。
ちなみに多くの人がミニのことを、
ミニクーパー!ミニクーパー!と言いますが、
実はミニクーパーというグレードはありません。
3ドアのグレード一覧を見ると、
ザックリと以下のような感じになるため、
正確には「ミニ」の「クーパー」です。
つまりBMWだと「BMW118i」と言ってるのと同じだってことだね。
うん、意外とみんな知らないよね。
しかも廉価グレードになると、
「ONE」や「VICTORIA」という名前で、
クーパーの名称すら付いていません。
次にBMW1シリーズを見てみると、
こちらは118iとM135iの2モデルのみで、
スペックの跳ね上がり具合が凄いです。
いきなり300馬力越えの400Nm超なんだよねぇ…。
間に2.0Tグレード作ればいいのに。
118iのグレード自体は3種類あるものの、
エンジンスペックはどれも同じなので、
装備の多い少ないで選ぶことになります。
最も人気なのはMスポーツで、
各所がアグレッシブな造形に変わりますが、
118iは何だか少々控えめな印象がありました。
加速感は意外といい勝負!
まず118iは、
軽く踏み込んでも元気な出足で、
自然なフィーリングが非常に好感触です。
以前にゴルフ7.5やアルテオンで感じた、
エンジン性能に対する反応が敏感過ぎて、
ムリヤリ感の漂う印象は全くありません。
特にアルテオンは、
S3と同じ2.0Lターボエンジンですが、
かなり出足に偏ったチューニングでした。
ただでさえ発進が苦手なDSGを、
ますます苛めるような急加速なので、
低速はスーパーギクシャクしていました。
アクセルを踏んで離して踏んで離してを繰り返してたら、ディーラーの人が苦笑いしてたね…。
だってあの挙動はちょっと酷いんじゃない?
アルテオンは、
2021年にシューティングブレークも出ており、
新しいモデルでは修正されている気もします。
118iの走行性能の話に戻りますが、
どこまでも非常にスムーズな加速感で、
しかもそれがかなり長く続きます。
3気筒エンジンなので、
全く期待していなかったのですが、
加速フィールは想像以上に軽快でした。
そしてエンジン音も、
バララッといい音を響かせていて、
素敵な重低音を聞かせてくれます。
あの時ドライブモードはスポーツだったっけ?
いや、まだノーマルモードだったよ。
決して加速感は強くなく、
1.5Lターボなりの穏やかな加速ですが、
なぜか気持ちいいのが不思議でした。
もちろん速度が上がるにつれて、
加速ペースはどんどん落ちてきますが、
なぜか頭打ち感の少ない印象がありました。
これぞBMWの歓びマジック!
よっろこびヨロコビ〜♪………ん?
そして一方のクーパーSは、
2.0Lターボの圧倒的パワーで、
踏み込むだけガンガン加速します。
車体が引っ張られる感覚は、
明らかに118iより強いと感じますが、
気持ちよさの感覚が少し違っています。
クーパーSでは、
加速感はいつでも均一な感覚で、
まさにゴーカートという感じです。
最近のエンジンにある、
少しのラグの後に突然急加速する、
どっかんターボ的な加速はありません。
だ、ダメダメ!どっかんターボなんて今の若い子たちはわかんないよ…。
え、うわっ…私の知識、古すぎ…?
それも古いんじゃ…?
118iは、
最近のダウンサイジングターボらしく、
それなりにターボラグはあります。
しかし、
アウディやワーゲンと乗り比べると、
比較的ラグは少ない印象があります。
私のS3スポーツバックでも、
相当なタイムラグが発生した後、
身体がのけ反る急加速が始まります。
ただ118iは元々の出力が大きくなく、
フル加速と通常加速の差が小さいために、
ラグを感じづらいような気もします。
スポーツ走行ならクーパーSの勝利!
どちらも良い加速ですが、
やはり500ccの排気量差があるため、
クーパーSが1ランク速い感じです。
しかも、
出足のラグが非常に少ないため、
キビキビと攻めた走りを楽しめます。
機敏なゴーカートのように、
手足のような感覚が強いですが、
街中で持て余すこともありません。
ここはさすがBMWミニで、
低速での動的質感の高さも素晴らしく、
軽快ながら重厚感も感じさせます。
一方の118iは程よい加速が続き、
街乗りや高速道路では快適ですが、
スポーツ走行には少々物足りません。
速度が上がる時の気持ち良さは、
確かに駆けぬける歓びを感じますが、
加速感は3気筒なりといった印象です。
ドライブモードをスポーツにすると、
レスポンスが結構変化してくれるので、
これなら少し満足できるかもしれません。
ただサウンドも良く、
ゆったり走ってもイイ感じなので、
ネガティブな印象は全くありません。
さすがに攻めた走りを楽しむなら、
M135iかなといった感じですが、
実はあちらも意外とマイルドです。
ただ方向性が違っていて、
激しさよりも自然な感覚が魅力で、
特に加速感はNAエンジンのようです。
A35みたいなバッキバキのシャッキシャキをイメージしてたんだけどねぇ。
逆にA35は普段乗りできるか心配だったよ…。
より硬派な走りを楽しみたい人は、
バッチバチのパッキパキに仕上がった、
ベンツのA35AMGをオススメします。
操作性はクーパーSの圧勝!
次にハンドリングを見てみると、
これはゴーカートフィーリングの、
クーパーSが圧倒的に気持ちいいです。
ハンドルを切ると、
ググッと敏感に車体が反応するため、
思った通りの走行ラインを描けます。
より機敏なハンドリングなのは、
5ドアより3ドアのサイズ感ですが、
実は人気なのは5ドアだそうです。
まぁ荷物も積めるし、人もたくさん乗れるしねぇ…。
でも本来ミニは3ドアだったんだよ。
ミニ通な人の一部は、
クラシックミニを理想とするため、
3ドアモデルを好むようです。
同ランクのドイツ車とは、
1ランク違うリニアな操作性で、
クーパーSの大きな魅力の1つと言えます。
えっと、くくりはドイツ車…でいいの?
一応親元のBMWに沿うということで…。
操作するたびに、
車体のコンパクトな感覚が伝わり、
まさにゴーカートのような操作感です。
ミニと言えば「ゴーカートフィーリング」だよね。あと接地感もBMW的で重厚だったね。
さすがはミニクーパーだねぇ。
基本的にはクイックですが、
決して過敏な反応ではないので、
緩やかな入力にも上手く反応します。
そのため、
のんびり街中を流すにも快適で、
魔法のような調整がなされています。
対する118iも、
ハンドリングはすこぶる良く、
A3やゴルフより明らかにハイレベルです。
A3もゴルフも、
街乗り重視で遊びが多いため、
リニアな感覚はあまりありません。
ただアウディQ2のように、
プログレッシブステアリング付きは、
118iと近いレベルの挙動を示します。
やっぱりプログレッシブステアリングは凄いよね。Q2なんてSUVだけどキュキュッと走ってくれるもん。
アウディでは価値のある装備だね。
新型118iでは、
従来のFRからFFレイアウトとなり、
前後重量配分は50:50では無くなりました。
それでも、
そんなネガティブは全く感じさせない、
的確なハンドリングを保っています。
そして118iもクーパーSも、
重厚感溢れるハンドリングなので、
どちらもBMWを十分に満喫できます。
しかしよりリニアに、
峠でもバリバリ楽しく走りたいなら、
クーパーSの方がオススメです。
まとめ
118iとクーパーSは、
どちらも気持ちよい操作フィールで、
街乗りだけでも十分楽しく走れます。
全体的な走りでは、
クーパーSの方がシャキッと元気で、
車との一体感を強く感じると思います。
オシャレ車と思われがちですが、
なかなか見た目によらず硬派で、
走り好きも納得できる仕上がりです。
一方118iは、
BMWに乗るという満足感で、
より運転が楽しく感じる気がします。
3気筒を感じさせないサウンドは、
踏み込む度にワクワクさせてくれるので、
実際の性能以上に満足度は高いです。